Melia azedarach/センダン
 科名属名 学名 センダン科 Melia azedarach     
 タイ名 เลี่ยน(リアン)                                 別和名オウチ(楝)
 その他名称 英名White cedar, Chinaberry。  中国名-楝,苦树、苦楝树
 原産地 西アジア・インド・東南アジア・東アジア。 タイでは各地の落葉林・原生林の周辺に生育。
 用途など 庭木や街路樹として植栽。木材。樹皮・果実は薬用多。
   
花  花序 
 
 チェンマイ市内にて撮影(満開) 果実 葉 
     
(幼木の)葉  幹  

 樹形・幹・葉 高さ15~20m落葉樹。葉:2~3回奇数羽状複葉・互生。小葉は長さ3~7cm楕円形先尖。鋸歯。
 花・果実 花:萼片5・花弁5白紫色・雄蕊10花糸筒状濃紫色。 葉腋に円錐花序。
       果実:核果。径1.5~2cm近球形。黄褐色に熟。種子数個。
 花期 1~3月開花、10~1月果期。
 
 タイ名เลี่ยน(リアン=liang) タイ中辞典によると中国名ー楝(liang)に由来。*声調も上声で一致し会話可能。
 
センダンの和名由来と漢字表記-栴檀について
 センダン(Melia azedarach)は江戸時代前期までオウチ(楝)と称され、センダンという名称は「大和本草」(1709年貝原益軒編纂)に「和名をアフチという。近俗センダンという」とある。名称由来は千団子(果実の様子から)、千珠、千段等の諸説がある。後に和の栴檀などとして次第に栴檀(せんだん)という漢字を当てたものであると思われる。
「植物和名語源思考」1999年深津正 「千団子祭の別名を栴檀講ともいう、音が共通するするための当て字である」。とあり、センダン(Melia azedarach)を栴檀と書くのは近年の当て字(又は誤用)である。

栴檀(Santalum album)は梵語Chandanaの漢訳名であり、我が国に漢訳仏典が持ち込まれた時代より栴檀はSantalum albumを意味しこれ以外の意味は無い。我が国で栴檀をビャクダン(Santalum album)というように「なったのは近年のことと思われる。恐らくは。センダン((Melia azedarach)を栴檀と当て字書きするようになってからのことと思われる。

参考
中国サイト(baidu)の栴檀の説明 Sirium myrtifoliumはSantalum albumのSynonymである。
  本サイトは2014-07-12更新であり、(漢訳)仏典からの引用も多い。
*日本のNetでは、木の雑記帳ーセンダン雑話(2009年4月)に興味深い関連情報が掲載さている。私も調べたが、当時(5年前)は中国サイト情報は殆ど無かったのを記憶している。*中国では栴檀は壇香科の植物である。
*和名の漢字表記が教科書とした中国名が意味するものとはく別物に充てられた例は多くある。
  中国で中文名-日本語名の対比が始始まって。中国サイトbaidu 常见树木中文日语名对照表
 
 「栴檀は双葉より芳し」について
「仏典の植物」(満久崇麿)83Pに、諺「栴檀は双葉より芳し」について、『これは漢訳仏典「観仏三昧経」の「栴檀、伊蘭草(トウゴマ)中に生じ、まだ双葉にもならぬうちは発香せずただ伊蘭の臭気のみあるも、根芽漸々成長しわずかに木とならんと欲し香気まさに盛んなり」からきたものである。』と説明されている。「撰集抄(1250年頃?西行法師仮託)に「「栴檀は二葉よりにほひ、 梅花はつぼめるに香あり」 とあるのが由来であり、「上方いろはかるた」で栴檀は双葉より芳しとして広く知られるようになったものである。

諺のジャンルであり、「大成する者は、幼いときから人並み外れてすぐれていることのたとえ。」の意
栴檀が香るのは芯材部分であり,双葉や花は芳香は放たなず、幹もよく嗅がない限り香りはない。これを「双葉より芳し」としたところがこの諺の意味をますます引き立たせている。流石は西行法師である。なお、反対語は大器晩成である。
*栴檀の双葉には香り無いとの指摘が散見されるが、これは諺のジャンルであるので筋違いの指摘であると思われる。
中国では最近、日本の諺も対比研究され、本諺は中国では「英雄出少年」とある。日语谚语大全 より引用。
 
 雑感  センダンはチェンマイ市内では普通にみられる樹木で自生も多い。チェンマイの1~3月は寒気末で落葉し、暑期始めで開花ラッシュを迎える。センダンも全落葉直後に若葉出用と同時に開花して爽やかである。

掲載画像はチェンマイ滞在初期の数年前に撮影したものであるが、実のところ日本のサイト情報を読むにつれ掲載意欲を失せてしまい、放置しておいた。

私はタイで植物を見て植物に関心を持ち始め寺院に植栽の植物の撮影が多かったためか、センダン(Melia azedarach)はタイ名タイ名เลี่ยน(リアン=liang)は中国名ー楝(liang)に由来し、和名もオウチ(楝)であったものが、どうして栴檀(Santalum album)になってしまったのか、そしてその栴檀をどうしてビャクダンと称するようになったのかという疑問を最初から持ち、その答えがNet情報だけでは難解だった。

然しながら、この数か月の中国サイトの植物情報(仏典の植物情報を含む)の急速な充実に後押しされて、ようやくにして掲載に踏み切った。従来のセンダン(Melia azedarach)の日本サイトとは、発想が異なる説明になってしまったが、私は直球を投じたつもりでいる。
間違いがあったら何卒ご指摘をお願いしたい。誤りは直ちにお詫びかた訂正する所存です。2014年12月記
 
センダンの説明の方法についての私の違和感について
センダン(栴檀)Melia azedarach)の説明では、栴檀は双葉より芳し」の栴檀は別種で、これはビャクダンのことであるということが書かれているのが散見(常見?)される。
然しながら、センダン(栴檀 学名 Melia azedarach) が「栴檀は双葉より芳し」の栴檀と同じ漢字表記をするこの場合は、何故同じ漢字で書くかは、必須の(本論的)説明となるはずである。
「栴檀は双葉より芳し」のセンダンは別種であり、ビャクダンのことであるからには、別種別名の説明は、補足的事項であり必ずしも記載の必要はない。しかしこの説明は本論であるかのような説明がなされている。
センダン(栴檀、学名: Melia azedarach)の栴檀は当て字(又は誤用)とするも、それが正しいなら私は立派な本論的説明であり、不明なら不明とするも又立派な説明である。これだけで無益な混乱を避けられると思われる。
しかし、Net状では植物学としての記載にも当て字(又は誤用)という記載は殆ど見かけたことがない。

更に、漢訳仏典の植物は同一和名の植物があれば漢訳仏典の植物名とは(混同を避けるため已む無く)別名を付されることもあるのに、センダンの場合に逆に漢訳仏典名を好んで用いられのも不可解である。
栴檀はビャクダンのことと説明すれば必要十分なのかな?栴檀(Santalum album)と学名付記は説明に不要なのかな?実に不可解である。
 
蛇足 ラテン科名Santalaceaeの和科名について
私はそもそもセンダンの名称が混乱しているのでは、科名Santalaceaeの和科名をビャクダン科と付けたことが発端となって生じていると思われる。科名SantalaceaeのSantalはSantalum album=栴檀又はチャンダナの意味である。Santalaceaeはセンダン(栴檀)科と和科名を付けられるべきである。

科名Santalaceaeの語源となる植物が日本に無い場合は、当該科名で日本にある植物名を和科名に付すのが一般的である。科名Santalaceaeの植物は日本では「ツクバネ;Buckleya lanceolata)」や「カナビキソウ:Thesium chinense)」が古くから知られて生態も栴檀に似ている。どうしてツクバネ科又はカナビキソウ科としなかったのだろうか? 外国植物の栴檀の名称をビャクダン(木材名)として和科名にするのは正道ではない。

また、Meliaceaeの和科名センダン科としたのも、更に混乱に拍車をかけている。和科名はカタカナ表記することになっているが、このカタカナのセンダンはは漢字の栴檀と書くことを推奨しているようなもの!
混乱を回避するためにチャンチン(Toona sinensis)科にでもすべきだったと思われる。

私には、植物学は自然科学の分野でありからにはストレートを投ずるべきと思うが、時代に流され、世の流されて変化球を投じたゆえに招いた混乱ないかと思われる。


なお、白檀は本来、紫檀、黒檀などと並び称された木材名であり、香りに着眼しては栴檀香、白檀香(略して壇香)という香木名が付されたものである。、本来、科名とするには不相応であると思われる。


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