Saraca indica /ムユウジュ(無憂樹)
 科名属名学名 マメ科ジャケツイバラ亜科Saraca indica (syn) Saraca asoca * 和別名アソカノキ,アショカノキ。
 タイ名 ソーク・ナム( โสกน้ำ)         北タイ通称アソーク(อโศก)
 その他名称 英名Ashoka tree。インド・ヒンディー名Sita Ashok, Ashok 中国名ー无忧树(=無憂樹)
 原産地 インド原産。                タイでの植樹は全国的には少ない。
 用途など 装飾樹として寺院や公館、住宅の敷地に植樹。
      
  花 
  
チェンマイ市内にて8月撮影。枝がよく分岐した1本の木です。   花序
     
果実 新葉(白色又は紫紅色)
樹形・幹・葉 高さ10~12m常緑樹。 葉:羽状複葉、互生。小葉5~7対(やや互生)。長さ10~50cm披針形。 
花・果実 花:萼片4黄色~橙色。花弁無し。雄蕊6~12本。円錐花序。果実:長さ25~30cm扁平,種子6~8個
*花は芳香の記載多数だが,私が嗅いだ限りでは殆ど無臭,蜜の香りも乏しい。心がけが悪いのかも?。
花期 ほぼ通年(11~2月に花数が多い)。
仏典の植物 南伝ブッダ伝ではシッタルタ生誕の樹木はサラジュ(Shorea robusta)であり,ムユウジュは生誕に係わる植物ではない。北伝仏典では,シッタルタ(釈尊)の生誕の際の樹木として伝えられている。

タイ名はソーク・ナム( โสกน้ำ)アソーク(อโศก)などであり,サンスクリット名アショカ(アソカ)に由来する。漢訳仏典名-無憂樹(むゆうじゅ),阿輸迦(あしゅか)は,梵語名アショカ(アソカ)の意訳、音訳であり,タイ名と同一由来である。
参考 シッタルダの生誕(及び入滅)に係わる植物種について
出典により様々であるが、Wikipedia, the free encyclopediaの情報が最も客観的と思われるのでSaraca asoca とShorea robustaを検索対比した。
Saraca aoscaのページにはシッタルダ生誕の絵画画像が掲載があり(説明文はない)、またShorea robustaのページには、生誕と同一の絵画画像が掲載され、生誕及び入滅に係わる説明がなされている。併せて両樹は古代インドでは混同が多かったことも説明されている。
また、絵画画像を拡大すると、マーヤ夫人が手にされている樹は白色と赤色の花が見られ、どちらとも言えない、なかなかに好く出来た絵画画像だなあと思われる。

なお、中国語版Winkipedia維基百科では娑羅樹(Shorea robusta)は、釋迦牟尼の生誕 及び入滅に係わる植物として説明。また、同百科は忧树(Saraca asoca)に関しては、釋迦牟尼の生誕に係わる植物と説明している。

仏教の3霊樹について
仏典の中の樹木(満久嵩麿典)に「(仏教)3霊樹や5木という名は後年インド以外の国,おそらく日本あたりでつけたものではないかと思われる」との記載のとおり、仏教の3霊樹は仏教典にはない用語である。

この3霊樹というのは、仏典の植物名では 1無憂樹 2菩提樹 3.沙羅樹を指しているようだが、Globalには上述のとおりの生誕に関しては沙羅樹ともあるので、仏教の3霊樹という用語を使われる際には適正な表現をされることをお薦めします。また、植物の名称につきましても仏典に記載の植物名を用いられますようお薦めします。
*沙羅樹(SHorea robusta)でも同様の説明をしております。
 
マストツリーとの名称混乱 バンレイシ科マストツリー(Polyalthia longifolia)はタイ名อโศกอินเดีย(アソーク・インディア)であり,ムユウジュは北タイ通称アソーク(อโศกであり,名称は混同されやすい。両樹はともにインド原産であり、(数ある)インド名に中にアショカ(アソカ)という同一名がある。タイは同一のインド名を用いたものと思われる。
インドの植物の伝来に際しては名称混乱はよくあることである。
 
雑感 チェンマイでは寺院,市内,公館などで近年は植栽が増えつつあるように思われる。樹形が大きいほどに花数も多いようで満開の大樹は美しい。
しかし、タイ全体では植樹は少ないようで,一説には,タイ名ソーク・ナム( โสกน้ำ)のソークは否定詞アが付されていないので,「憂い」という意味になり,縁起が好くないともいわれているらしい。
先般花博公園に行ったらムユウジュが多数植樹されていた。花博開催は11月~2月で樹木の花が少ないこの時期に開花するからではないかと思われる。観光客用かな?


満開のムユウジュ チェンマイの近県の寺院の境内に咲いていた。本株は花序が実に大きく見栄えがする。葉が少し下垂しているのも本種の特徴である。この寺の僧侶にこの木の名前はアソーク(อโศก)だ教えて頂いた。仏典との関連をお伺いしたところ,(初耳とばかりに)首を捻っておられた。*聖木としての植栽ではない。

チェンマイの近県にて12月撮影。
 
上記画像と同じ木を近くで撮影。(本株はやや変種がかっているようにも思われる。)

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