Syzygium polyanthum /サラムツリー 
 科名属名学名 フトモモ科 Syzygium polyanthum 
 タイ名 หว้าหอม(ワ―・ホーム)
 その他名称 英名Indonesian bayleaf、Salam tree インドネシア・マレー名Salam他
 原産地 東南アジア全域。                    タイでは全域の林に生育多。
 用途など 広い庭園に庭木植樹。木材(建築)。果実可食。*葉はカレー等の香味用(Salam leaf)
  
 花
 
 シリキット植物園にて撮影(枝切り剪定してある) 花序
     
 果実  葉  根本付近

 樹形・幹・葉 高さ15~30m常緑樹。幹は分枝。葉:単葉・対生。長さ5~16cm楕円形先尖。全縁。葉は芳香有。
 花・果実 花:花径8~12mm萼筒先4裂・花弁4・雄蕊多5mm。円錐花序、頂生。 
       果実:核果。径1~1.2cmm球形。赤く熟。種子1~2個。
 花期 3~6月開花。6~10月着果。
 
 掲載画像の樹形は、枝切り剪定されていて本来の樹形とは大きく異なっている。これは造園用の樹形であり、大庭園によく見かける。大樹化を防ぎつつ重厚な感じを与える、下段の寺院の本種も同様である。

この樹形で植樹される樹木は、枝切りに耐え遅々と成長すること、葉がバランスよく出葉すること、花・果実が地味であること、幹太く重厚な印象を与えること、等の条件を整えた樹木が多い。花博公園の庭園にもよく見かける。  *我が国の造園では強剪定された五葉松などが、匹敵するかも。
 
食用:本種の葉は、Salam leafと称されカレー等に用いられるようだが詳細不明。タイの食習慣にはない。
 
 雑感  シリキット植物園の広場で最初に見たときには、樹形に違和感を感じたが見慣れるとそれなりである。
地味な大木で、花・果実は小さく見るべきものはない。掲載を躊躇していたが、市内の寺院で見かけ、その植樹理由を考えているうちに、「仏典の植物」に関連すると思い立った。


 チェンマイの寺院ワット・プラーサートに寄進植樹の本種(2本)
 
ワット・プラーサート
チェンマイの著名(観光)寺院ワット・プラシンの北隣りにあり、ラーンナー様式の建築で知られた寺院である。本寺院は最近、境内がコンクリート敷きになったが、その影響で境内の植樹は相当数が変更された。 
この画像では手前から2本が掲載のワ―・ホーム(Syzygium polyanthum)、その向こうにサガリバナ(Barringtonia racemosa)2本、さらにマエルア・シアメンシス(Maerua siamensis)1本、最奥にボダイジュがある。
私の思うところ、このワ―・ホーム(Syzygium polyanthum)は、仏典の植物ムラサキフトモモ(Syzygium cumini)を意識しての植樹と思われる。ムラサキフトモモは成長が早く樹形が大きく 落下果実が膨大で紫色に汚れるので境内での植樹は敬遠されている。このหว้าหอม(ワ―・ホーム)は枝打ちしてこの樹形にすれば大きくはならず、花・果実・葉も小さく手入れは少なくて済む。この境内に植樹するには好適なのだろう。 
思い出せば、最奥にはクラトゥム・ナー(Mitragyna diversifolia)も植樹されていた。成長が早い大木で落下果実が異臭を放つカダンパ(Anthocephalus chinensis)の代用だったと思われる。

仏典の植物の樹木には大樹が多く、古代インドの原生林では存在感が際立っていたと思われる。しかし現代の都市部の寺院では大樹の植樹は困難になりつつあり、特にコンクリート敷きの境内では植樹に限界がある。然るべき代用植樹は避けがたいことである。私の知る限りではコンクリート敷きの他の寺院も同様の傾向である。


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