仏 典 の 植 物
タイには仏典の植物(仏典に記載の植物)が寺院・公園・街路等に広く多数植栽されています。タイの植物で仏典の植物として認識されていると思われるものを、下記にまとめ索引としました。
仏典の植物の掲載に関しては,下記のような用語・カテゴリーを用いました。
・釈尊は,タイでは成道前はシッタルタ,成道後はブッダ(尊称略)と称されているのでこれに従いました。
・説明の利便のため,仏典を伝道経路に基づいて,南伝仏典・北伝仏典として区分記載しました。
・梵語名:南伝仏典の主言語であるバーリ語と北伝仏教の主要言語のサンスクリット語の植物名は,使い分ける必要がない限りは原則として併せて梵語名として記載しました。
・タイの「仏典の植物」に関する本やHPには現タイ名に加え仏典名(バーリ語名)も掲載されているものがあり,当サイトではタイ語表記のバーリ語名のカタカナ訳を梵語名としたものが含まれます。2度音訳になり原典の発音と似てない可能性があります。
・南伝仏典と北伝仏典の植物の整合性は,私個人の解釈・推定を基本としております。ご了承下さい。
仏典に記載の植物名の特定に関して 仏典に記載の植物名は基本的には古代インドの植物名ですが、古代インドは多数の言語が入り乱れ,同じ植物が幾つもの名称を持ったり,同じ名称でも異なる植物が幾つもあることはよく知られいます。また,植物の名称は時代とともに変わっていくものが多くあります。今日なおインドは多言語国であり同一植物の名称は多数あります。このような事情から,仏典に記載の植物名は経典成立の地域や時代で、同一植物でも幾つもの名称を持っていて,現時点での名称(学名)の特定(推定)は困難なことです。
 
 仏典の植物のタイ名と漢訳仏典名 仏典の植物の名称は原典には梵語で記載されているから,タイ名と漢訳仏典名は,同一の梵語名の音訳であれば,文字は異なっても読み方(発音)は自ずから類似する。
仏典の伝わった地域では仏典記載の植物の音訳名は類似している可能性は高いと思われます。ラオス名、ミャンマー、カンボジア,古くは仏教国であったインドネシアなどの仏典の植物名は同様の音声名称もつものがあると思われます。
(*漢訳仏典の植物名の本家の中国では残念ながら多くが名称変更されているようです。)
 私はタイ語も仏典も初心者で間違いもかなりあるかと思います。また,もう少し翻訳・理解能力があれば掲載できる植物種や内容もたくさんあります。何とか頑張って内容をより正確により拡充したい思っています。

索引  和名50音順に配列
和名 (学名) タイ名 梵語名 漢訳仏典名 ( )名は和かな読み
アジアワタ
(Gossypium herbaceum) 
ฝ้าย(ファーイ)  カッパーサ  劫波娑(こうはしゃ)
劫波育(こうはいく) 
アセンヤクノキ
(Acacia catechu)
สีเสียด(シーシアト) カジラ、カディラ 阿仙薬樹(あせんやくじゅ)
陀羅(きょだら)、渇陀羅(かつだら)
アンマロク
( Phyllanthus emblica)
มะขามปอ้ม(マカーム・ポム) アーマラ,
アーマラカ
菴摩勒(あんまろく)
阿摩勒(あまろく)
インドセンダン
(Azadirachta indica)
สะเดา(サダオ)
สะเดาอินเดีย(サダオインディア
ニムパ,ニムポー 衽婆(にんぱ)*衽は糸編
インドヤコウボク
(Nyctanthes arbortristis)
กรรณิการ์(カニカー)  カニカーラ
セパリカ 
パリチャタカ
畢力迦(ひつりきか) 
ウスバサルノオ
Hiptage benghalensis
โนรา(ノーラー) 
มโนราห์(マノーラー)
アティムクタカ  阿底目他迦(あていもくたか)
ウドンゲノキ
(Ficus racemosa
มะเดื่ออุทุมพร
(マドー・ウトゥムポーン)
ウドンバーラ、 優曇鉢羅(うどんはつら)
優曇華(うどんげ)
オウギヤシ
(Borassus flabelliformis)
ต้นตาล(トン・ターン) ターラ 多羅(たら),多羅樹(たらじゅ)
カダンパ
(Anthocephalus chinensis)
กระทุ่ม(クラトゥム) カダンバ 迦曇婆(かどんぱ)
キワタノキ
(Bombax ceiba)
งิ้ว(ギウ) シャールマリ,
シム(マ)プリー
舎摩利(しゃまり)
キンコウボク
(Michelia champaca)
จำปา(チャムパー) チャンパカ 贍波加(せんぱか)、
贍葡(せんぷく)*葡は異字
クタジャ
Holarrhenapubescens(syn)H.antidysenterica 
โมกหลวง(モークルアン)
โมกใหญ(モークヤイ)่ 
クタジャ 句托遮(くたくじゃ)
クチナシミロバラン
(Terminalia alata)
รกฟ้า(ロクファー) アッチュナ, アサナ 阿娑那(あさな)
クムボク
(Crateva adansonii)
กุ่มบก(クムボク)  カックタ,
プンタリーカ 
分陀利華(ふんだりか) 
クムナム
(Crateva religiosa)
กุ่มน้ำ(クムナム)  カックタ,
プンタリーカ 
分陀利華(ふんだりか) 
ケート
(Manilkara hexandra)
เกด(ケート) ラージャーヤタナ ラージャーヤタナ樹
(漢字調査中)
サラジュ
(Shorea robusta) 
สาละ(サーラ)
สาละอินเดีย(サーラインディア) 
サーラ  沙羅樹(さらじゅ、さらのき)) 
シートラン(
(Jacaranda obtusifolia (syn)J.filicifolia)
ศรีตรัง(シートラン)  パータリ  波波羅樹? 
シチヨウジュ
(Alstonia scholaris) 
พญาสัตบรรณ(パヤーサッタバン)  サッタバン
サプタパトラ
七葉樹(ななようじゅ)*意訳名
シッソーシタン
(Dalbergia sissoo)
ประดู่ลาย(プラドー・ラーイ)  アサナ,シーサパ  尸舎婆(ししゃば) 
シロギリ
(Prospermum acerifolium)
กรรณิการ์อินเดีย(カニカーインデア)  カニカーラ  迦尼迦羅(かにから) 
セイタカミロバラン
(Terminalia belerica)
สมอพิเภก(サモー・ピペーク) ヴィビータカ 毘醯勒(びけいろく)
セイロンテツボク
(Mesua ferrea)
บุนนาค(ブンナーク) ナーガケシャラ 那我計沙羅(ながけさら)
龍華樹(りゅうげじゅ)*意訳名
タケ
(Bambusa spp)
ไผ่(パイ)  ウェール  竹(ちく) 
チーク
(Tectona grandis)
สัก(サック) サカ 舎夷樹(しゃいじゅ)
直樹(ちょくじゅ)
デイゴ
(Erythrina variegata)
ปาริฉัตร(パーリチャト)
ทองหลางลาย(トーンラーンラーイ))
パーリチャタカ
マンダラヴァ
波利質多羅(はりしったら)
曼陀羅(まんだら)
テリハボク
Calophyllum inophyllum
กระทิง(クラティン)  ナーガ
パータリ,パータラ
龍華樹(りゅうげじゅ)*意訳名
波咜利(ぱたり),波羅羅(ぱらら)
ハゴロモノキ
(Grevillea robusta)
สนอินเดีย(ソン・インディア) ソンラ
ハス・スイレン
(Nelumbo nucifera)
(Nymphaea ssp) 
บัวブア)  パドマ 
ブンダリカ
蓮華(れんげ)*ハス・スイレンの区別無
 
ハナモツヤクノキ
(Butea monosperma)
ทองกวาว (トーンクワーオ) キンスカ
パラーシャ
堅叔迦(けんしゅくか)
波羅沙(ぱらしゃ)
フィクス・ラコル
(Ficus lacor)
ผักเฮือด(パック・フアト)  ピッパリ,ビンダラ
プラクシャ 
毘陀羅(びだら) 
ビルマネムノキ
(Albizia lebbeck)
พฤกษ์(プルック) シリサ,シリシャ 尸利沙(しりさ)
ベルノキ
(Aegle marmelos)
มะตูม (マトゥーム) ビルヴァ,マールラ 毘羅婆(びらば),頻羅(びんら)
ベンガルボダイジュ
(Ficus bengalensis)
ไทรนิโครธ(サイ・ニコーロート ニグロ-ダ
アジャパーラ
尼拘律樹(にくりつじゅ)
阿闍波羅(あじゃぱら)
ボダイジュ
(Ficus religiosa) 
โพธิ์(ポー)  アシュバッタ、
ピッパラ
ボーディ 
阿説他(あせった)
畢鉢羅(ひつはら
菩提樹(ぼだいじゅ) 
マンギフェラ・カロネウラ
(Mangifera caloneura)
มะม่วงป่า(マムアン・パー) アムパ,アムラ 菴羅(あんら)、菴摩羅(あんまら)
マンゴー
(Mangifera indica)
มะม่วน(マムアン)  アムパ,アムラ 菴羅(あんら)、菴摩羅(あんまら)
ミカン
(Citrus sp)
ส้ม(ソム) エーラーワタ
ナーランコー
蜜柑(みかん)?
ミサキノハナ
(Mimusops elengi)
พิกุล(ピクン) ヴァクラ 薄拘羅(ばくら)
ミロバラン
(Terminalia chebula)
สมอไทย(サモー・タイ)) ハリタカ、ハリタキ 訶梨勒(かりろく)
ムチャリンダノキ
(Barringtonia acutangula)
จิกน้ำ(チック・ナム)
ต้นมุจลินท์(トン・ムチャリン)
ムチャリンタ 目真隣陀(もくしんりんだ)
ムユウジュ
(Saraca indica
โสกน้ำ(ソーク・ナム)
อโศกアソーク)
アソカ,アショカ 無憂樹(むゆうじゅ)*意訳名
阿輸迦(あしゅか)
ムラサキフトモモ
(Syzygium cumini)
หว้า(ワー) ジャンブ
チャムプー
閻浮樹(えんぶじゅ)
モンター
(Magnolia liliifera)
มณฑา(モンター)  マンターラワ ? 
ヤサイカラスウリ
(Coccinia grandis)
ตำลึง(タムルン) ビンバ 頻婆(びんぱ)
ラネア・コロマンデリカ
(Lannea coromandelica)
อ้อยช้าง(オイ・チャーン)  マハーソーナカ  ? 

仏典縁りの植物   タイでは、仏典に植物名の記載はないものの、仏典の植物と同様の範疇で、寺院その他広く植樹されている植物があります。仏典縁りの植物として以下に記しました。
 和名(学名)  タイ名   縁りの所以
 ホウガンボク
(Couroupitaguianensis)
สาละ(サーラ)
สาละลังกา(サーラ・ランカー),
シッタルタ生誕及びブッダ入滅に際してのサラジュ(Shorea robusta)の代用植樹。 
 モモタマナ
(Terminalia catappa )
หูกวาง(フー・クワーン) 
*鹿の耳の意
ブッダの初転法輪の地サールナート(鹿野苑)を偲んで鹿の耳に似た葉のモモタマナを植樹。  
 フークラチョン
(Terminalia ivorensis )
หูกระจง(フー・クラチョン)
*小鹿の耳の意      
  同上
クックパイン
(Araucaria columnaris)
シマナンヨウスギ
(Araucaria heterophylla)
สนฉัตร(ソン・チャット) 
ブッダ像や寺院を装飾するチャット(又はチャトラ)に類似した樹形のナンヨウスギ(2種)を植樹。  

過去仏の成道樹 一覧
 過去仏に関しては諸説ありますが、タイでは過去28仏であり、仏典の植物としては過去28仏の成道樹としての植物名の説明がなされています。その利便・参照のため下記に過去28仏と植物名を掲載しました。
タイの過去28仏は,北伝仏典の過去7仏とは第22~第 28で一致するものと見做しております。
*当サイトにおけるタイの仏典の植物の説明には下記一覧の内容を繁用しています。

過去仏名称 成道樹名(バーリ語名) 和名 / 学名 (該当植物情報はタイHPより)
1..タンハンカロー仏  サッタバン シチヨウジュ / Alstonia scholaris
2.メーダンカロー仏 キンスカ ハナモツヤクノキ / Butea monosperma
3.サラナンカロー仏 パータリ シートラン / Jacaranda filicifolia
4.ティーパンカロー仏
 *燃燈仏と思われる。
ピッパリ, ピロッコー フィクス・ラコル / Ficus lacor,(syn) Ficus infectoria
5.コンダンニャ-仏 サーラ サラジュ / Shorea robusta
6.マンガラ仏 ナーガ テリハボク / Calophyllum inophyllum
7.スマナ仏 ナーガ テリハボク / Calophyllum inophyllum
8.レーワタ仏 ナーガ テリハボク / Calophyllum inophyllum
9.ソービタ仏 ナーガ テリハボク / Calophyllum inophyllum
10.アノーマダッスィー仏 カックタ、プンタリーカ クムナム / Crateva religiosa
クムボク / Crateva adansonii
11.バドゥマ仏 マハー・ソーナカ ラネア・コロマンデリカ / Lannea coromandelica
12.ナーラダ仏 マハー・ソーナカ ラネア・コロマンデリカ / Lannea coromandelica
13.パドゥムゥタラ仏 ソンラ ハゴロモノキ / Grevillea robusta
14.スメーダ仏 ニンパ インドセンダン / Azadirachta indica
15.スジャータ仏 マハー・ウェール デンドロカラムス・アスパー/ Dendrocalamus asper
代用掲載 デンドロカラムス・ブランデシー/Dendrocalamus brandisii 
16.ピヤダッスィー仏 カックタ クムナム / Crateva religiosa
クムボク / Crateva adansonii
17.アッタダッスィー仏 チャムパカ キンコウボク / Michelia champaca
18.ダンマダッスィー仏 ピンピサーラ インドガキ / Diospyros malabarica
19.スィダッタ仏 カニカーラ インドヤコウボク / Nyctanthes arbortristis 
或いは シロギリ / Pterospermum acerifolium
20.ティッサ仏 アサナ シッソーシタン /Dalbergia sissoo
21.プッサ仏 アーナンダ, アンマロク アンマロク / Phyllanthus emblica
22.ヴィパッスィ仏
 1. 毘婆尸仏(びばしぶつ)
パータリ 
波波羅樹
シートラン / Jacaranda filicifolia
23.スィキ仏
 2. 尸棄仏(しきぶつ)
カックタ、プンタリーカ
分陀利樹
クムナム / Crateva religiosa
クムボク / Crateva adansonii
24.ヴェッサブー仏
 3. 毘舎浮仏(びしゃふぶつ)
マハー・ソーナカ 
婆羅(博叉)樹
ラネア・コロマンデリカ / Lannea coromandelica
25.カクサンダー仏
 4. 倶留孫仏(くるそんぶつ)
シリーサ 
尸利樹
ビルマネムノキ / Albizia lebbeck
26.コーナーガマナ仏
 5. 倶那含牟尼仏(くなごんむにぶつ
ウドムバラ 
烏暫婆羅
ウドンゲ / Ficus racemosa,(syn)Ficus glomerata
27.カッサパ仏
 6. 迦葉仏(かしょうぶつ)
ニコーローダ 
尼拘律陀樹
ベンガルボダイジュ / Ficus bengalensis
28.ゴータマ仏
 7. 釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)
アサッタタ 
菩提樹
ボダイジュ / Ficus religiosa

(植物誌としての仏典)
仏典に記載の植物は,極めて多種に及び,ブッダが在世当時,即ち2500年程前のインドの主に北部に生育していた植物である。この当時は原生林は豊かに存在していたと思われる。従って,仏典は,当時の植物相の説明書,また人と植物の係わり合いを伝える植物誌としての有用性はあると思われる。また仏典に記載のない植物については現在多数植栽されていても,外来種や人為的改変種の可能性が高いという説明にも間接的ではあるが有用と思われる。
(植物名としての仏典に記載の植物)
仏典に記載の植物名は、古代インドの植物名であり、その多数は今なおインドでは植物名として継続しており、また東南アジアの国々でもその国の植物名のものが多くあります。
一方、現在の中国では殆ど漢訳仏典に記載の植物は変更されているようです。恐らくは政治的影響かなとも思われます。また、我が国でも漢訳仏典に記載の植物名は敬遠さているように感じられます。恐らくは、明治の廃物希釈運動の影響かなとも思われます。しかし仏教伝来普及の時代には使われていた名称に相違ありません。私見ですが、植物名の共有は文化の共有・相互理解につながるだけに何か惜しいことをしているように感じらてなりません。
仏典の植物情報はタイの複数のHPを参考にしております。検索: พรรณไม้ในพุทธประวัต *ブッダ伝の植物の意
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